第27回日本木管コンクール<フルート部門> 一次予選の審査員講評

高木 綾子

東京芸術大学准教授、洗足学園大学客員教授

第1次予選に出場された皆様、お疲れ様でした。そして、これまで練習した成果をしっかりと聞かせていただきました。
コンクールというものは、その場で結果として出てしまうので、自分の思っていた通りのものが出るとは限りません。ちょっとした運が、結果を左右する事も多いのです。
しかしながら、1次、2次、3次と進むにつれて、その運だけではない何かが見えてくると思います。
この木管コンクールに出場する為、はるばる遠くから来ている方も多いくいらっしゃると思います。せっかくの機会ですので、ぜひ、本選まで、出来るだけ多くの演奏を聞いてください。自分の演奏だけで満足せず、新しい発見をこのコスミックホールから学んでいってください。

 

金 昌国

東京芸術大学名誉教授、武蔵野音楽大学特任教授、アジア・フルート連盟名誉会長、日本演奏連盟常任理事

今年も優秀な方が沢山集まって良かったと思います。特に音色が皆良くなっています。テクニックも良くなっていると思います。
あえて注文つけるならば、音色は良くなっていますが、音色に変化をつけている人が沢山いるとは言えないかもしれません。
テクニックも指はすごく回っていますが、速いパッセージで速すぎて不明瞭になっている場合もあったと思います。
歌うのもみんなよく歌っていると思います。ただ、楽譜をよく見えていなくて音量が逆になっているのも見受けられたと思います。
楽譜に書かれている事を忠実に演奏していただければ、もっと良くなったかもしれない人もいたと思います。
楽譜の横に書いてある事、秘められている事をこれからの研究課題にしていただきたいと思います。

 

白尾 彰

桐朋学園大学音楽学部教授、新日本フィルハーモニー交響楽団首席フルート奏者

全体に皆とても良く、レベルの高い演奏をしていたと思います。敢えて講評するとすれば、音も技術も素晴らしいのだから、もっと作品そのものに入り込んだ演奏をしてほしいこと。もう一つ感じたことは、フルートという楽器の性質上、どうしてもブレスが必要な訳ですが、そのブレスの取り方、あるいはブレスを取る場所によって、音楽的なフレーズを壊してしまうことがあるということでした。作曲家のことを考えて、その作品を最優先にした音楽的なブレスをしてほしいと思います。

 

長山 慶子

大阪音楽大学教授、日本フルート協会常任理事

一次予選が皆さんに任されている課題ではあったが、いかに自分の選択曲を魅力あるものに仕上げているかというところで充分な判断ができたと思う。
曲に対する思いはあっても技術が伴わなくて表現がうまくできない人、技量は素晴らしくても自分の世界だけで演奏してしまっている人、たった5分の中で最大限にその曲を表現する難しさを感じた。
譜面の音符を音にするだけではなく、そこから音楽にしなくてはならない。音楽には正解はなく、考えた通りに演奏できるものでもない。このコンクール当日まで悩んで悩み抜いて、もしかすると舞台でパッと閃きもあったかもしれない。
参加者の皆さんはまだまだこれから充分に伸びる可能性がある。大いに自信を持って悩んで欲しい。惜しくも予選落ちしてしまった方は二次、三次、本選を聴いて頂きたい。もしかするとそこに閃くものが見えるかもしれない。

 

中川 佳子

京都市交響楽団副首席フルート奏者、第3回日本木管コンクール優勝

皆さん、大変お疲れ様でした。
それぞれの方がいろいろな想いを持って一次に挑んでいらした事と思います。
一次の課題は20世紀以降より自由に選べる、つまり自分の得意なレパートリーで、より自分の長所を表現できる機会だったのではないか、と思いました。そうであった人、残念ながら吹くのに精一杯で自分の音楽まで到達しなかった人もいました。
作曲家が譜面に書いている事を忠実に読み取り、それを自分の言葉として発することが大切だと思います。そして一つ一つの短い文書をまとめて一つの作品にする全体像を把握する事が非常に大切なことである、と思っています。
そうした自分の音楽にまでしていた方は意外と少なかったと感じました。
皆さん良い音も技術も持ってらっしゃるので、どうぞ内面を大切に頑張って下さい。

 

中野 真理

東京音楽大学准教授

美しい紅葉の中、素敵な環境でのコンクール!! 各自が選ぶ、変化に富んだ曲目を楽しく聴きました。心に残る名演も、いくつかありましたが、それは、フルートを完全に身体の一部としてコントロールし、自由自在に聴衆に向かって歌ったり、語りかけたり、作曲家の意図を伝えられているということではないでしょうか?
奏法に於いて最も大切なことは、目に見えない「息」の方向を必ずまっすぐ進め、更に、そのスピードを調整することだと思います。しかし、残念乍ら、目に
見えない故に殆んどの人にとって後回しにされている事だと感じました。難しい指やタンギングも、先ず息のラインを敷くイメージを持った上で行うように、練習の際に心がけて下さい。空港などにある動く歩道にずっと乗っている感じです。勿論、休符の時も忘れずに!
では、二次のバッハも楽しみにしています。

 

竹林 秀憲

日本フルート協会理事、元相愛大学音楽学部教授

はじめて「日本木管コンクール」の審査をさせていただきました。出場者の懸命な姿と素晴らしい演奏に感動いたしました。
若い人たちのエネルギーに圧倒されながらも、何とか冷静に聴かせて頂きました。
特に頼もしく思えたことは、作品の持つ魅力を楽譜から読み取り、自分の感性を信じながらそれを見事に表現していた演奏が少なからずあったことです。このコンクールから聴衆の心を打つ演奏家が育つ可能性を感じました。
続く第二次予選から本選まで、引き続き若々しい新鮮な演奏を楽しみにしています。